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棘を縫う

原発ムラの現状と脱原発への道筋を描く

「脱原発」への攻防:追いつめられる原子力村 (平凡社新書)

この本は、原発事故から7年間にわたって取材を続けた朝日新聞記者が、原発ムラの内部と外部の攻防を詳細に報告するものである。著者は、安倍政権下でも進まない原発再稼働、電力自由化、東芝の経営危機、東電の実質国有化と国民への負担転嫁、損害賠償裁判、東電元幹部の強制起訴など、原発ムラが直面する様々な問題を分析する。また、菅直人元首相、河野太郎外務大臣などのキーパーソンや、原発事故の被災者、反原発運動の活動家、専門家などにインタビューを行い、日本の脱原発への道筋を探る。

この本の特徴は、原発ムラの構造と動きを多角的に捉え、客観的に評価することである。著者は、原発ムラの利権や癒着、情報操作や隠蔽、責任回避や負担転嫁などを厳しく批判する一方で、原発ムラの存在意義や役割、技術力や経験、国際的な競争力や貢献などを無視しない。また、脱原発への道筋を描く際にも、再生可能エネルギーの普及やコスト、安全性や安定性、環境への影響や社会的な受容性など、さまざまな側面を考慮する。著者は、単に原発ムラを悪者にするのではなく、原発ムラと対話し、協力し、改革し、転換することが必要だと主張する。

この本は、原発ムラの現状と脱原発への道筋を描くという点で、非常に貴重で有益な一冊である。原発ムラに関心のある人はもちろん、原発ムラに無関心な人や反原発の人にも、ぜひ読んでほしい本である。この本を読めば、原発ムラの実態と課題、そして日本のエネルギー政策の方向性について、より深く理解できるだろう。


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